マウンテンバイクの世界を描いた小説、
「輪子 マウンテンバイク物語」
を発売中です


くわしくは出版社のホームページ、またはこちらをご覧ください。
amazon.co.jpでご購入できます。"伊藤一成"で検索してお申し込みください。



阪和海岸ツーリング


 3月3日(日)に和歌山県の和歌ノ浦から加太、大阪府の岬公園、淡輪(たんのわ)までの海岸線を走ってたのでレポートします。このコースは近郊なのにも関わらず、砂浜、リアス式海岸、漁港、灯台と海岸沿いの雰囲気が味わえる私のお気に入りのコースです。

 朝8時前、出発の準備を済ませて玄関でSPDシューズを履いた。チームメイトの須田君が車で迎えに来てくれるはずだが、まだ来ない。8時過ぎに電話が鳴った。「すんませ〜ん、バイク洗ってたら遅くなって。今家を出るところです。」と須田君。オイオイ、何で朝にバイクを洗うんだよ〜。
 9時前にやっと来た須田君の車に乗り込む。購入してまだ1ヶ月のホンダCR-Vだ。キャリアが間に合わなかったので、私のスーパーVは輪行袋に入れて後部シートに積んだ。彼のバイクはルーフキャリアに積まれている。二人ともマウンテンバイクだ。とっていも今日は山へ行くわけではない。
 国道26号を南へ走る。途中で臨海線へ乗り換えたが、道はガラ空きだ。この車にはカーナビが付いているので、いじり回してみる。結構おもしろい。「しかしなあ、四駆っちゅうのは過剰装備ちゃうか?」「う〜ん」「排気量もデカいし、燃費わるいし。」「う〜ん」「車高も高いし、高架下くぐられへんで。」「う〜ん」「前のCR-Xも自転車3台に人間3人、荷物も山盛り積んでよう走ったのに何で買い換えたん?」「う〜ん」「なんというてもCR-Xはロードギアのサイクルキャリアがよう似合てカッコ良かったし。」「う〜ん」
 人の車に乗せてもらいながらケチを付ける私と一人で運転する須田君を乗せて、一路CR-Vは南へ向かったのであった。
 途中のコンビニで弁当を買い込み、さらに南下する。淡輪あたりから駐車できる場所を探し始めるが適当なところが見つからない。結局、深日港のそばに広いスペースがあったので、そこに駐車する事にした。
 私は輪行袋からだしてバイクを組み立て、須田君はバイクを屋根から降ろしてホイールをはめる。彼は1.5インチのスリックタイヤを持ってきていた。そばの自動販売機で飲み物を買い込み準備完了、出発する。まずは26号へ。
 26号まで裏道を通って出たところで、須田君がグローブを忘れたと言い出した。しばらく走っていないとすっかりボケているようだ。慌てて取りに戻る。
 さて再び国道26号へ戻り、和歌山へ向かう。行きは海岸を行かず26号で孝子峠を越える。緩い登りを30キロ弱のスピードで走っていく。最初は余裕だったが、徐々に傾斜はきつくなりギアをロー側へ落としていく。当然速度は遅くなる。左横を南海電鉄が走っている。やがて道路が南海の上をくぐり右側へ出たところで限界に達し、フロントギアをセンターに落とした。
 峠のピークを越えると正面に和歌山市街がかすんで見えた。道は程良い下りで幅もあり走りやすい。しかし向かい風で思ったほどスピードが出ない。ペダリングしないと40キロほどで釣り合ってしまう。ペダルを回して加速すると50キロ近くまで上がったがそれが限界だった。ミラーで後ろを確認すると、須田君は涼しい顔をして足は回していない。私が風よけになっているので後ろはペダリングしなくても十分スピードがでるのだ。う〜む。
 やがて市街地に入るが路肩の違法駐車は少ないので、大阪ほど走りにくくはない。紀ノ川を越え、さらに市街地を南へ走る。正面の山の上に展望台が見える。和歌ノ浦トンネルをくぐると、そこが和歌ノ浦だ。ここまでのアプローチは16キロだっった。漁港の桟橋で休憩を取る。
 ここからが本当のシーサイドライドとなる。まだ春早い海は水も澄んで美しい。天気もいいのでエメラルド色にきらめいている。和歌ノ浦から新和歌ノ浦への道はアップダウンしながら徐々に標高を上げていくので、海を見おろす形になる。両側には夏の海水浴客や観光客を当て込んだ旅館やホテルが並ぶ。さすがにまだこの季節は客が少なそうだ。
やがて雑賀崎の町並みが見えてきた。岬の途中の険しい斜面にホテルや旅館がびっしり並んでいて、なんとなくエーゲ海沿岸の町並みの風景を連想させる。その岬の先に灯台がある。弁当を食べるのにはちょうどよさそうだ。道を分かれ旅館の間の道を登っていく。結構アップダウンがきつく、足にこたえる。
 最後の坂を上りきると灯台に着いた。駐輪して登ってみるが、殺風景で思ったほど良い景色でもない。風も強かった。下を見るともう少し北に綺麗な芝生を敷き詰めた岬が見えた。そちらの方へ回ってみることにする。
 それは黒船の見張り所の後だと言われる番所(ばんどこ)庭園だった。有料なので入場料を払って中へ入る。小綺麗に手入れされた日本庭園があり、その先に灯台から見えた芝生の広場があった。ここで弁当を広げてもいいが、せっかくなので海が見える方がいい。階段を下りて下の岩場へ出てみた。風も入らず陽が当たって暖かい。ここで食べることに決めた。
 昼食を済ませると再び走行開始。一日に2本ほどしか列車が来ない南海水軒駅の前を北へ疾走する。海岸近くの港湾施設や工場の前の道で、幅も広いうえに日曜で車が少いので思いっきり飛ばせる。バーエンドをつかみ35キロほどで飛ばしていく。ブロックタイヤが独特のブーンという音をたてている。後ろの須田君がたまにフリーをカラカラいわせるので、ミラーで後ろを見てみると時々漕ぐのを止めて休憩している。後ろは風が当たらないだけずいぶん楽らしい。
 和歌山港を過ぎると左側にループで上がる橋があった。26号に戻るよりちょっとはショートカットになるかも知れないので、この橋を渡ることにしてループを登る。この橋は運河を渡るだけなので、一旦下った次の橋で紀ノ川を渡る。自動車は有料だが、自転車・歩行者は無料である。最近出来た紀ノ川最河口の橋だ。
 再び国道26号へ戻り、加太への分岐の標識に従って左折。西の加太へ向かう。相変わらず30キロ以上の巡航速度である。さすがに須田君もちょっとつらそうだ。加太へ入る直前にちょっときつめの坂があるが、スタンディングで一気に登り、加太の町並みにたどりついた。
 なんやら町並みの奥からぞろぞろと人が南海の加太駅へ向かって歩いてくる。何があったのだろうと興味が湧いたので、人が来る方へ向かってみる。民家の中を人混みに沿って進む。
 その道の先にあったのは淡島神社だった。そこに上がっていた幟を見てやっと気が付いた。今日は3月3日ひな祭り。ひな流しの日だったのだ。さっそく駐輪して入ってみる。縁日のように露店が並び、人も多くて賑やかだ。
 本殿の中にはひな人形が所狭しと並んでいた。ひな人形だけでなく、供養のために寄せられたいろいろな人形があちこちにならんでいた。干支の置物に信楽のたぬき、外国の珍しい人形まである。しかし招き猫と福助の大群にはちょっとまいった。供養するとはいえ、こんなのを手放して大丈夫だろうか?
 ちょっとおなかも空いたので、露店でたい焼きを買うことにする。近所のやつよりもおいしいと須田君はいたく気に入り、あん入りとカスタードクリーム入りの二つを平らげた。
 さて夕方も近くなってきたので先を急ぐ。加太の大きな砂浜沿いに進み、やがて国民宿舎の横をぬけ大川峠に向かう。数年前に大川トンネルができ大川峠は旧道となってしまったが、やはりサイクリストは峠をめざすものだ。トンネルの手前を左へとり、きついワインディングの傾斜を登っていく。今回のツーリングのハイライトだ。私は前日に、信貴山を越えて奈良に入り国道168号で枚方を回って生駒を周回、120キロほど走っていたので、すでに足がボロボロだった。この峠の登りはこたえた。
 しかしなんとか一息に登り切り、下の方になった海を眺めながダウンヒル。また海のそばに降りてトンネルから出てきた道と合流した。この辺りは雰囲気のいい漁港で、釣り人が集まる場所である。ビシッとカッコ良く決めた若い女性のフィッシャーを横目で眺め、ペダルを回していく。
 道が海から離れる手前の漁港へ入り、ちょっと休憩。写真を撮った後、再び走り出す。道は少し内陸へ入り、アップダウンが出てくる。海も見えなくなる。本当は海岸には多奈川の火力発電所があるはずだ。
 南海多奈川駅の前を過ぎ、深日港へ帰着。車の前で休憩を取るが、まだ走り終わった訳ではない。ここからさらに海岸を北上し淡輪まで行くのだ。
 深日港を離れると川を渡り、深日漁港へ出る。この漁港もかなり大きい。たくさんの漁船が停泊している。漁港の端から漁村の民家の裏道を通り、堤防の間のダートを踏んで暫く行くと再び海岸沿いの道になる。私の記憶では、ここは舗装が悪くガードレールもない道だったが、今は綺麗に舗装されガードレールも出来ていた。私は前の雰囲気が好きだったのでちょっとがっかりした。しかし綺麗な舗装も途中までで、やがてボロボロの道になりガードレールもなくなった。やはりここはこうでないと。夏に来るとフナムシがゾロゾロで、踏まずに走るのが至難の業になるところだ。
 岬公園の裏を通り、松林と堤防の間の道を走る。途中の公衆トイレで用を足す。須田君が後ろの山の上の灯台に気が付いた。何故かこの灯台は南側からは見えないのだ。岬公園を過ぎてから一度も振り返らなければ気づくことなく行き過ぎてしまう。
 民家の中を少し走り、海岸へ戻ると淡輪のヨットハーバーだ。道は海洋訓練センターで行き止まり、右へ曲がってきつい坂を上り南海を越えて26号へ合流する。
 夕陽を右斜め前からあび、国道を車へ帰るためにひた走る。今日は要所要所ではゆっくり楽しんだが、走りに関してはハイペースだった。昨日と併せてダメージは2、3日に残るに違いない。
 総走行距離66キロを走りきり、車に帰り着いたのは5時過ぎ。しばらく休憩し、バイクを再び輪行袋に詰めていると日が暮れた。須田君のバイクを屋根に積むと出発。CR-Vは深日港を後に渋滞している国道26号へと出ていった。

マウンテンバイクの部屋に戻る

ホームページ・プロフィールに戻る